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ナウマン号、参りました。

10月4日(金)

いま、佐伯一麦の「ミチノオク」を読んでいることもあり、本日、畜大にやってきた帯広市の移動図書館「ナウマン号」に乗り込んで入り口すぐのところにあった「東北モノローグ」に手が伸びたのは自然といえます。

そうして試しに本文の1行目を読んだら、私は「畜産大学に通ってはいる」と書いてある。語っているときは畜大の4年生で、その学生が小学5年生の時の東日本大震災の体験談でした。びっくり。これは借りないと。

最初は仮名かと思ったら実名でした。私が担当した授業の名簿に名前がありました。

語り部ではなく、語り手なんだそうです。変に編集していない分、リアルな感じがあります。そうして聞く側、読む側の心に残る。

「ミチノオク」も震災の影がそこここにありますが、この本はそのもの。指導教員は誰だったのだろう。どんな学生だったのか聞いてみたい。

こういうこともあって入り口の一番近いところにこの本を置いたのかもしれません、ナウマン号。まんまとはまってしまった。侮り難しナウマン号、というか帯広市図書館の職員さん。参りました。
TOHOKU monologue
ナウマン号を出たときにちょっと小雨交じりだったので、本がぬれないようコートの内側に「抱える」ようにして歩いていたのですが、それがばったり会った図書館の川村さんには「隠している」ように見えたのか、変な目でこっちを見ていました。

そんな目で見られたら、いかにも、「大学の図書館からは借りないけど、ナウマン号からは借りているのはどういうことか」と思われているみたいじゃないですか。

いやいやそんなことないです。事情を説明して本のことを教えたら、「へぇー」と目を丸くしていました。そのときは「仮名だと思うけど」と申し上げたのですが、実名でした。失礼しました。

(仙北谷)

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